2020年4月に、4番目の通信キャリア(MNO)として誕生した「楽天モバイル」は、管内閣の肝いり政策である、携帯電話の値下げの意を受ける時代背景の中で誕生したこともあり、それまでの3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)の月額料金を大きく下回るプラン内容を発表して、膠着した携帯電話市場に楔(くさび)を打ち込んだと言えます。
しかし、サービスの開始当初はアンテナ基地局の絶対数が不足していた、障害物に強く遠くまで到達する周波数帯のプラチナバンドの認可が無かった、無制限プランを標榜していてもauのパートナー回線では月に5GBの容量制限が設けられていた、などが災いして、スマホプランで最も大切な繋がりやすさの面での紆余曲折がありました。
それでも楽天モバイルは、辛抱強くアンテナ基地局の増強を重ねて、障害物に強く、遠くまで到達する周波数帯のプラチナバンドの認可を勝ち取り、電波環境の改善に努めたことが功を奏して繋がるエリアは大きく広がり、楽天モバイルが繋がらない場所での、auのパートナー回線のデータ利用量にも制限が無くなっています。
楽天モバイルはプラン内容にも紆余曲折があり、一時的に大きく契約者が減少したこともありましたが、その後は増加に転じて、2024年7月には700万人を超える契約者数を達成しています。
auのサブブランドである「UQモバイル」は、高品質なauの通信回線をそのまま利用ができるのにもかかわらず、安価な月額料金になっていることもあり、順調な契約者増を重ねていて、2024年8月には1,000万人を超える契約者数になっています。
安価に利用ができるスマホプランとして人気の、利用者数急増の「楽天モバイル」と利用者数が安定的に増加している「UQモバイル」を比較して、どちらがお得なのか?検証して解説していきます。
「UQモバイル」「楽天モバイル」の繋がりやすさを比較
MNOなら、どの会社でも繋がりやすさは同じというわけではありません。
電波の繋がりやすさは、一般的に人口エリアカバー率によって論じられます。
現在は5Gの基地局も整備が進んでいますが、繋がりやすさについては電波が遠くまで到達する4G LTEが基本です。
UQモバイルの繋がりやすさ
UQモバイルはauと同じ繋がりやすさです。
auの人口エリアカバー率は99.9%に到達していて、日本中の人が行動する多くの場所では問題無く繋がると言えます。
UQモバイルは日本全国の多くの場所で、繋がりやすいスマホプランです。
楽天モバイルの繋がりやすさ
楽天モバイルは、サービスのスタート当初の人口エリアカバー率は低いものでした。
しかし、2022年の早々に人口エリアカバー率は96%に達して、その後は99%に達し、2024年にはauのパートナー回線と併せて99.9%になっています。
UQモバイルの方が繋がりやすい
UQモバイルと楽天モバイルの人口エリアカバー率はどちらも99.9%で、数字的にはどちらも繋がりやすさは変わりません。
そもそも、楽天モバイルが繋がらない場所では、パートナー回線のauに繋がるのですから人口エリアカバー率も同じで繋がりやすさも同じ・・・・・と考えるのは早計です。
たしかに楽天モバイルが繋がらない場所では、楽天モバイルのパートナー回線としてau回線に繋がるのですが、僅かでも楽天モバイルの電波が掴める場所ではau回線に切り替わることは無く、ユーザーが電波を意図的に選択することもできません。
また、4G LTEの人口エリアカバー率の基準は、500メートル四方のエリアで半分繋がる場所は提供エリアになるため、人口エリアカバー率が同じでも、繋がりやすさは必ずしも同じになりません。(裏を返せば提供エリアでも半分の場所は繋がらなくてもOKということ)
これに密接に関わる4G LTEのアンテナ基地局数は、2024年1月に総務省が発表している「令和5年度 携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の調査結果の概要について」によれば、auのアンテナ基地局数196,101に対して、楽天モバイルのアンテナ基地局数は4分の1程度でしかない44,866になっています。
加えて、障害物に強いプラチナバンドの周波数帯の整備が、楽天モバイルでは進んでいないことから、コンビニなどの店頭でスマホのQR決済やクーポンを出すのに、時間を要したり出てこなかったり・・・という事態も発生します。
人口エリアカバー率は同じでも、UQモバイルの方が繋がりやすいという点では優位であることに間違いありません。
「UQモバイル」「楽天モバイル」の利用できるスマホを比較
「UQモバイル」「楽天モバイル」に乗り換える場合に、現在利用しているスマートフォンが利用できるのか?について比較してみましょう。
MNOごとに使える電波は異なる
バンド | 周波数帯 | 使用するキャリア |
1 | 2GHz帯 | docomo・au・SoftBank |
3 | 1.7GHz帯 | docomo・au・SoftBank・楽天モバイル |
8 | 900MHz帯 | SoftBank |
11 | 1.5GHz帯 | au・SoftBank |
18 | 800MHz帯 | au |
19 | 800MHz帯 | docomo |
21 | 1.5GHz帯 | docomo |
26 | 800MHz帯 | au |
28 | 700MHz帯 | アジア太平洋共通バンド(docomo・au・SoftBank)楽天モバイル |
41 | 2.5GHz帯 | Wireless City Planning・UQ コミュニケーションズ |
42 | 3.5GHz帯 | docomo・au・SoftBank |
これは、4G LTEの周波数帯で、総務省から認可を受けている企業ごとのバンドです。
現在利用中のスマートフォンを、「UQモバイル」「楽天モバイル」に乗り換えて継続利用をする場合、それぞれ対象のバンドをカバーしている必要があります。
UQモバイルの場合
バンド1.3.18.26が利用できるスマホなら、UQモバイルの利用に基本的に支障はありません。
auで購入したスマホの多くが、利用可能になっています。
楽天モバイルの場合
バンド3.18.26が利用できるスマホなら、楽天モバイルの利用に基本的に支障はありません。
楽天モバイル独自の仕様として、楽天モバイル回線に繋がらない場合には、パートナー回線のauにスマホ側が自動的に切り替える様になっています。
具体的には、楽天モバイルのバンド3が常に優先であり、それが完全に利用ができない場合にのみ、パートナー回線であるauのバンド18に切り替える機能がスマホに必要です。
対応していない場合には快適に利用することができませんし、そもそも楽天モバイルが誕生する2020年以前に設計されたスマホでは、対応していないケースが多くなっています。
*参考 楽天モバイル回線対応製品
楽天モバイルに乗り換えるのには、新たにスマホを購入するコストまで考慮しておいた方が良いです。
UQモバイルの汎用性が高い
楽天モバイルは登場が新しい分、対応していないスマートフォンが多く、利用ができるスマホは限られていると言えます。
UQモバイルは比較して汎用性が高く、利用ができるスマホが多く、特にauからの乗り換えなら基本的に問題はありません。
単身利用者の「UQモバイル」「楽天モバイル」プラン内容でお得を比較
「UQモバイル」と「UQモバイル」のプラン内容を比較して、お一人で利用する場合に、どちらがお得なのか見ていきましょう。
UQモバイル
プラン名 | ミニミニプラン | トクトクプラン | コミコミプラン | |
容量 | 4GB | 1GB未満 | 15GB | 20GB |
基本月額料金 | 2,365円 | 2,277円 | 3,465円 | 3,278円 |
UQモバイルのプランは3つあり、最小の4GB容量の「ミニミニプラン」・15GBまで利用ができる「トクトクプラン」・20GBの容量まで利用ができて、国内通話10分までかけ放題の料金が込みになっている「コミコミプラン」になっています。
楽天モバイル
(出典:楽天モバイル公式)
Rakuten最強プラン | |||
容量 | 3GB未満 | 3~20GB未満 | 20GB~無制限 |
基本月額料金 | 1,078円 | 2,178円 | 3,278円 |
楽天モバイルのプランは「Rakuten最強プラン」1つで、利用する容量によって料金が変わる従量制プランになっています。
3GBまでの利用の場合は月額1,078円で、3GBを超過すると20GBまでが2,178円、20GB以上の利用に関しては無制限で3,278円の固定料金になります。
無制限利用したいユーザーは 「楽天モバイル」がお得
(出典:楽天モバイル公式)
UQモバイルには20GB以上のプラン設定が無く、無制限プランもありません。
動画視聴などを頻繁にスマホで行い、月に数十GBから数百GBを利用するようなユーザーは、楽天モバイルが圧倒的にお得です。
ただし、利用頻度が高い自宅が、楽天モバイルの電波が快適に利用できることが条件になります。
20GB未満の利用でかけ放題が必要なユーザーは 「どちらもお得」
20GB未満程度のデータ容量利用と、かけ放題が必要なユーザーは、UQモバイルのコミコミプランは月額3,278円であり、楽天モバイルは20GB未満の利用で月額2,178円にかけ放題月額1,100円を加えると、奇しくも同額の3,278円になります。
楽天モバイルでは楽天LINKというアプリを使った電話通話では、オプション料金などの別料金が発生せずに、かけ放題を利用することができます。
しかし、別途オプションで、通常電話回線の通話かけ放題を設けていることからも解るように、通話品質は通常の電話通話よりも劣ることが否めません。
国内通話何度でもかけ放題の時間は、1回の通話でUQモバイルが10分かけ放題で、楽天モバイルは15分の違いがあります。
UQモバイルは20GBを超過すると、通信速度が1Mbpsに制限されますが、課金はされません。
楽天モバイルは20GBを超過すると、自動的に月額料金が4,378円に跳ね上がります。
どちらもお得に利用することができますが、繋がりやすさまで含めた利便性まで考慮すると、UQモバイルの方がやや優勢というところでしょうか。
家族利用の「UQモバイル」「楽天モバイル」プラン内容でお得を比較
複数の家族で利用する場合、UQモバイルではスマホ1台につき最大月額550円、楽天モバイルではスマホ1台につき月額110円の家族割が適応されます。
UQモバイル
プラン名 | ミニミニプラン | トクトクプラン | コミコミプラン | |
容量 | 4GB | 1GB未満 | 15GB | 20GB |
基本月額料金 | 2,365円 | 2,277円 | 3,465円 | 3,278円 |
家族割 | 550円 | 550円 | 550円 | 0円 |
家族割2人 | 3,630円 | 3,454円 | 5,830円 | 6,556円 |
家族割3人 | 5,445円 | 5,181円 | 8,745円 | 9,834円 |
家族割4人 | 7,260円 | 6,908円 | 11,660円 | 13,112円 |
UQモバイルの家族割は、コミコミプランでは適応されません。
これは、他社のオンライン専用プラン対抗プランで、各社ともオンライン専用プランは割引制度適用外になっているためです。
楽天モバイル
楽天モバイル | |||
容量 | 3GB未満 | 3~20GB未満 | 20GB~無制限 |
基本月額料金 | 1,078円 | 2,178円 | 3,278円 |
家族割 | 110円 | 110円 | 110円 |
家族割2人 | 1,936円 | 6,336円 | 6,336円 |
家族割3人 | 2,904円 | 9,504円 | 9,504円 |
家族割4人 | 3,872円 | 12,672円 | 12,672円 |
楽天モバイルはスタート以来、各種割引制度をおこなってきませんでしたが、2024年2月21日に家族割を始めました。
利用容量にかかわらず、家族利用で月額110円の割引が適用されます。
3GBから15GBまでのユーザーの場合は 「UQモバイル」がお得
家族全員が3GB未満のデータ利用に留まる場合は楽天モバイルがお得ですが、3GBを超過して15GBまでならUQモバイルがお得になります。
楽天モバイルで3GBを超過すれば家族3人で利用した場合、月額料金は9,504円になりますが、UQモバイルは4GBまでなら月額3,795円で利用が可能であり、15GBまでなら月額8,745円になります。
15GBを超過する場合は、楽天モバイルがお得になります。
自宅Wi-Fi利用の「UQモバイル」「楽天モバイル」プラン内容でお得を比較
最近増加しているインターネットの利用方法は、自宅にWi-Fi利用ができる別回線を導入することです。
特に、高速な通信速度で無制限にインターネットの利用ができる、光回線サービスが多く使われています。
その背景には、特定の光回線サービスとスマホプランを併用することで、毎月スマホ代の割引が受けられる「セット割」の存在があります。
セット割が適用される割引額で、光回線サービスの大半を賄うことができるため通信費トータル費用を抑えることができる上に、快適な通信環境をスマホ以外のインターネット利用も可能にしていることが人気の理由です。
UQモバイル
プラン名 | ミニミニプラン | トクトクプラン | コミコミプラン | |
容量 | 4GB | 1GB未満 | 15GB | 20GB |
基本月額料金 | 2,365円 | 2,277円 | 3,465円 | 3,278円 |
セット割 | 1,100円 | 1,100円 | 1,100円 | 0円 |
単身利用 | 1,265円 | 1,177円 | 2,365円 | 3,278円 |
家族割2人 | 2,530円 | 2,354円 | 4,730円 | 6,556円 |
家族割3人 | 3,795円 | 3,531円 | 7,095円 | 9,834円 |
家族割4人 | 5,060円 | 4,708円 | 9,460円 | 13,112円 |
UQモバイルは最大スマホ1台につき、月額1,100円のセット割が適用されます。
*セット割を適用する場合は、家族割は適用されません
セット割が適用される光回線サービスは、auひかりの他、電力系光回線・ケーブルテレビ系光回線に加えて、NTT東西のフレッツ光を使う光コラボがあります。
UQモバイルと光回線を併用するなら、セット割が適用される光回線サービスを選択すれば、通信費トータル費用を大きく下げる効果があるだけでなく、快適なインターネット環境を利用することができます。
楽天モバイル
(出典:楽天モバイル公式)
楽天モバイル | |||
容量 | 3GB未満 | 3~20GB未満 | 20GB~無制限 |
基本月額料金 | 1,078円 | 2,178円 | 3,278円 |
家族割 | 110円 | 110円 | 110円 |
家族割2人 | 1,936円 | 6,336円 | 6,336円 |
家族割3人 | 2,904円 | 9,504円 | 9,504円 |
家族割4人 | 3,872円 | 12,672円 | 12,672円 |
楽天モバイルは自社の光回線サービスとして楽天ひかりを提供していますが、セット割は適用されず、もちろん他の光回線サービスでもセット割の適用は受けられません。
楽天モバイルユーザーは、どこの光回線サービスを使ってもメリットは無い反面、どこの光回線サービスでも自由に選択できると言えます。
光回線を併用するなら「UQモバイル」がお得
自宅に光回線を併用するなら、セット割が適用できるUQモバイルを利用した方がお得です。
UQモバイルはauの高品質で繋がりやすい通信品質なのに、セット割を適用後の価格は、格安SIMと比較しても遜色の無い料金で利用することができます。
UQモバイルにセット割が適用されるおすすめの光回線は?
UQモバイルにセット割が適用される光回線は色々ありますが、NTT東西の光回線フレッツ光を使う「光コラボ」をおすすめします。
NTT東西の光回線フレッツ光は、光回線で唯一全国47都道府県全県をカバーしている光回線であり、日本全国の多くの場所が提供エリアになっています。
また、マンションで光回線を利用するためには、建物の共有スペース内まで引き込み工事が完了している必要がありますが、フレッツ光なら多くのマンションに既に工事が完了しています。
フレッツ光が利用できる場所や建物では、光コラボを利用することができます。
利用しやすい利便性やコスパで考えても、UQモバイルのセット割適用の光回線は光コラボが最適です。
光コラボでUQモバイルのセット割適用の光回線サービスを、具体的にご紹介しましょう。
光コラボ「ビッグローブ光」+「UQモバイル」にセット割
(出典:ビッグローブ光申込サイト)
光コラボの「ビッグローブ光」が、UQモバイルのセット割適用の光回線としておすすめです。
老舗プロバイダのビッグローブが運営を行う、多くのノウハウに裏付けられた高品質な通信環境で、KDDIグループの光回線サービスのためUQモバイルとは極めて親和性が高く、「セット割」が適用されます。
ビッグローブ光の月額料金は、マンション集合住宅4,378円・一戸建て住宅5,478円です。
キャッシュバックキャンペーン
ビッグローブ光を新規契約すると、今ならキャッシュバックが受け取れるキャンペーンが行われています。
工事費無料キャンペーン
光回線を導入する場合には、プロの業者による導入工事の費用が発生します。
ビッグローブ光の導入には最大で28,600円の標準工事費がかかりますが、今なら工事費が実質無料になるキャンペーンが行われています。
引っ越し移転時の工事費用が無料
将来引っ越しをする場合には、引っ越し先でも光回線の導入工事は必要であり、工事費用もその都度かかってきます。
ビッグローブ光では何度引っ越しを行っても、その都度必要になる工事費が無料になっています。
転勤族の方や引っ越しする予定がある方にも、ビッグローブ光がおすすめです。
家族4人で利用した場合の通信費トータル費用
光回線のビッグローブ光とUQモバイルを併用する事で、スマホ1台につき最大毎月1,100円のセット割が10契約まで適用が受けられます。
家族4人で利用した場合の、通信費トータル費用を計算してみましょう。
ビッグローブ光 | UQモバイル | 家族 | 合計 | |
マンション | 4,378円 | 1,265円 | 4人 | 9,251円 |
戸建て | 5,478円 | 1,265円 | 4人 | 10,351円 |
*auPAYカード支払い割187円も適用した場合
家族4人で利用しても、通信費トータル費用は月額1万円前後で収まるコスパの良さでお得です。